TOEIC300点しか取れなかった私が大学でのんびり英語勉強をしたら英語を使って研究ができるようになった件について
はじめに
タイトルは某オンライン小説サイトっぽくしてみました.内容はどちらかというと王道少年漫画な感じです.つまり敗北を乗り越え成長していく物語です.
これは英語を全く使えなかった弱々な私(TOEIC換算で300点ちょっと)が,英語で研究をできるようになるまでにやったことをまとめたものです.最後に受けた時(博士後期1年?)で895でした.1
学生の英語の学習意欲というか,何かの参考になればという感じでまとめます.失敗談を大量に入れているので,「お,この人もこんなんやったんやな」という点でやる気を上げるのに使えます.ちなみに,いまだに英語をペラペラ喋れているという気はしません.なんか喋れているように見えると思いますが,ちゃんと聞けば実はそんなことはない
記事後半では,私が学習に使った参考書をまとめます.そっちだけ見てもらっても大丈夫です.
なお,以下の点は注意して読んでください
- 書かれている内容は個人的な感想で,その学習の効果を示したり,意味がないことを示したりはしないこと
- 英語の学習についてきちんと調べた上でやったことではないので,無駄なこととかも多いかもしれないこと
- 一部記憶が曖昧なこと
理想
外国の人と英語で流暢に雑談したり
洋書や英語の論文をサラサラ読んだり
映画やドラマを字幕なしで観たり
めっちゃわかる.そうなりたい
多くの人の英語の勉強の最初のモチベーションってこういったものな気がしています.かくいう私も
- 英語で外国の人と
話さないといけない話したい - 英語の論文をもっとすらすら
読まないといけない読みたい - 英語のニュースとか英語とかを理解できるようになりたい
この辺りが最初のモチベーションでした.ちなみに,現状はというと,程度の問題ではありますが,ある程度は上のことができるようになっています.程度の問題というのは,例えば,洋画を初見で見せられても完全に筋がわかる映画はまだ多くはないためです.ものによってはわかるといったところです.
とはいえ,最初はこれらはかなり高い壁に思えます.私もそうでした.最初の時は
- 「how are you」「I'm fine thank you and you」というテンプレートしか使えない
- なんか英語で長文が書いてあるけど,単語がわからず内容が入ってこない.
- 洋画は暗号にしか聞こえない
というような状態でした.はっきりいって,理解できるようになる気がしないという気分でした.大体の人は初めはそうなのではないでしょうか?(自分がぶっちぎりでダメだったというだけの可能性もありますが...)
でもこんな状態だった人でも今の状態まではレベルを進められたので,諦めずに英語学習を頑張っていけば,研究をする上ではなんとかなる程度には英語ができるようになると思っています.
では具体的にやってきたことを見ていきましょう.
学習してきた流れ
高専4年生 (大学1年生相当)
もしかしたら高専3年生だったかもしれません.詳細は忘れましたが,初めてTOEICテストを受験したときです.初めてでさっぱりわからなかったです.問題文の読み上げすらわからないレベルです.結果,300点と少しという点数でした.将来は海外に行かなくて良い職業に就こうとこの時思いました.また,600点とか取れる人がこの世に存在するということが信じられませんでした.
とはいえども,この状態はよろしくないと思いました.大学への編入も考えていたので,流石に英単語くらいは勉強しておこうと考えました.なので,
をやるようになります.単語は1日1時間とか,シャドーイングは30分とか使って1つのセクションをやってた気がします.その後,高専卒業くらいまでは単語帳をやったりシャドーイングをやったりして日々を過ごしていきます.ただ,あんまり単語は覚えられなかった...特にこの時期は単語の学習方法の効率も悪く,1時間使って20単語を覚えようとしていたりしました.英語の先生にも1日にやる単語数はとにかく多くして,繰り返しやることが重要と言われていたのに....
そして,ここで1つ目の大きなターニングポイントを迎えます.私が通っていた高専では4年生から研究室配属されるのですが,その研究成果を高専とアジアの大学が共同で行うシンポジウム(台湾で行われました)で発表することになりました.ちなみに,この時点では英語の5文型2すらよくわかっていない状態です.発表はもちろん英語です.
あんまりよろしくないなとは思っていたのですが,何故か謎の自身に満ちていました.というよりも,もうどうしようもないので開き直ってしまえという感じでした.発表の時の記憶はいまだに鮮明に覚えていますが
- 20分の発表を14分で終える
- 5つ質問をもらうのに1つもまともに回答できない
- そもそも回答に成功しているのかもわかっていない
というような状態でした.この経験で「英語の勉強しなきゃ」という気持ちを強くしました.
ちなみに,他の学生との交流会も行われていたのですが,それはかなり楽しかったです.台湾の学生で自分と同じくらいの英語力の学生や,圧倒的に上手い学生やらと交流できたのは普通に楽しかったです.
大学3年生
高専から大学に編入しました.上の経験もあり,英語の勉強をしなきゃ+友達を作りたいという気持ちで,英語のクラブでもあれば入ろうかなと探していました.すると,ちょうど,自分の入学の時期に合わせて図書館で留学生と交流ができる定期イベント3が開催されていたので,そこに週2回1時間ずつくらいで顔を出すようになりました.そこでお勧めされた動画を観たり本を読んだりするようになりました.電車通学をしていたので,単語帳は通学時間でやりつつ,他の時間で動画を見たり本を読んだりを30分くらい毎日やるイメージです.
このイベント関連で,留学生に対して日本の文化を紹介するチューターをやるやつもあったので勢いで応募して,しばらく留学生の人と交流を持ったりもしてました.1週間に1回とかのペースであって話してました.私はほとんど英語が喋れなかったので,ジェスチャーと簡単な単語でなんとかしていた感じでしたが...
一方で,この時期はまだ英語の基礎も何もあったもんじゃないので,それほど大きく英語力が伸びた感じはしませんでした.ただ,
- 英語で会話することへの障壁の低下
- 英語のコンテンツに触れる経験
はかなりすることができました.この経験のおかげで,以降のアウトプット・インプットを抵抗なく色々とできるようになります.また,海外派遣時の英会話も(会話はできないですが)入っていくことができました.
大学4年生
研究室に配属されました.ここから色々と加速していきます.
まず,英語の本を読む輪読をすることになります.しかし,当初の私は英語がほとんどわからない状態.当然悪戦苦闘します.でもやらないわけにはいかないので,辞書片手に全訳して,それを読み返してまとめるということをやっていました.4
また,英語の論文にも触れるようになりました.最初は統計的因果推論の論文を読んだのですが,ほとんどの単語がわからなかったので,片っ端から紙に書き出していって,その意味を調べ,ひたすら暗記していきました.電車の中では大体この単語を暗記しているか,単語帳を読んでいるかでした.
そして,これが2つ目の大きなターニングポイントだったのですが,師匠が色々と手配をしてくださって,この夏に1ヶ月間カナダの研究室に派遣されることになりました.5私自身はあまり自信がなかったのですが,師匠に背中を押されて行きました.結果的にはこの体験は非常によかったため,師匠には非常に感謝をしております.6
派遣先ではお昼ご飯をみんなで一緒に食べる会を毎日やっていました.そんな中に英語が喋れない+まだ専門的なことも対して知らないという学生がやってきました.当然会話に入れません.1ヶ月いましたが,自分が喋ったのは全部で3文くらいだったと思います.やっぱりひどい.また研究ミーティングもよくやってもらっていたのですが,空で英語を喋れる自信がなかったので,前日に1-2時間かけて資料と説明内容を準備していくようにしていました.でもやっぱりうまくは喋れませんでしたが...
しかし,この経験のおかげでだいぶ覚悟が固まりました.英語を喋れなきゃ研究者としてやっていけないということがよくわかったので,帰国後に英語の勉強をする大きなモチベーションになりました.特に,同時期に派遣先の研究室に配属された某学生の脅威的な英語力7などを見て負けてたまるかと思いました.
ちなみに,派遣中は日本から来ていた先生方にも大変お世話になりました.色々なところにご飯を食べに連れて行ってもらったりBBQに誘っていただいたりしました.
帰国後から英語の勉強をがっつりやるようになります.具体的には毎日以下をやってました
- 英単語帳を何回もやる
- 基本的な文法(SVCなど)を覚えるのと,例文を覚える
- 英会話をやる
- 英語を継続的に使うために共同研究をやる
そもそも単語がわからんと話にならんということがわかったので,英単語帳はこの時期から頻度を上げてやるようになりました.また,何やら文法というものが英語を理解する上で重要そうだということがわかったので文法をやり始めます.それまでは,英会話しとけばいつかは喋れるようになるのではくらいのことを考えていましたが,そんなことはないと感じるようになります(ちなみに,これは大学院の英語の講義でその理由について説明があり伏線回収にカタルシスを感じることになります).
図書館のイベントには頻度を上げて通うようになりました.インプットだけではなく,実践(いわゆるアウトプット)もやった方がモチベーションを維持できると思ったからです.また,派遣から帰国後に新しい研究プロジェクトを立ち上げて,派遣先との共同研究も開始しました.こちらもアウトプットの場があった方がモチベーションが維持できると考えたからです.研究ノートも英語で書いたりしていました.これらの場のおかげで,日常的に英語を使わなければならない状態を作ることができました.
そして,1月ごろに某所で開催される会議に出席しました.この時,日本人学生たちと知り合うことになります.特に今も親交のある2人の学生8と出会って,大きな衝撃を受けます.それまで会ってきた英語が堪能な学生はほとんど外国人だったのですが,その2人は英語が非常にうまく,自分でも頑張れば英語が喋れるようになるのではという思いを強くしました.
また,会議では他の参加者と昼食を共にする機会が多かったのですが,やっぱり喋れず悔しい思いをすることになります9.なので,見返してやろうという気概も持つようになります.
修士1年生
大学院に入ります.色々と英語の勉強に真面目に取り組み始めたおかげか少しづつ英語をしゃべることができるようになってきます.もちろんまだまだですが.
さて,この年ですが,6月ごろから昨年と同じ研究室に今度は2ヶ月派遣されることになります.しかも,派遣先の教授が英語の勉強になるだろうということで,同じ時期に研究室に来ることになっていた某英語ネイティブ学生10とルームメイトとなるよう手配してくれます.なので,朝から晩までその人といるので,かなり強烈なアウトプットの経験となりました(勉強してて良かった...)
ただ,ランチミーティングではまだ悔しい思いをすることも多かったです.なので,やはりまだまだだなということがわかったので,勉強を頑張っていこうと決意することになります.ちなみに,研究のミーティングもこの時期はまだまだだったのですが,同時期に派遣されていた某先生に非常に手厚くサポートしていただきなんとかなりました.多分このサポートがなければ,これほど良い経験にすることはできなかったので,大変感謝しています.
そして,この時期から英語の論文を読む量がだいぶ増えてきます.論文を書く量が増えてきたため,サーベイしなければならない範囲が大きく増えたためです.これによって意図せず多読の経験を積むことになります.
この効果により英語のインプットの量が増えてきて,単語の覚え方が変わってきます.具体的には,単語は少ない個数を完璧に覚えていくよりも,より多くの単語を毎日やって,繰り返しの回数を増やすべきということを学びます.機械学習風にいうと,ミニバッチのサイズを大きくしつつ,イテレーションの回数も増やすイメージでしょうか?高専の時の英語の先生も言っていたことですし,色々な英語の学習の記事でも言われていたことです.
最終的には,帰国後の電車通学でですが,毎日200単語くらいは通学時間で覚える(というより触れる)ようにしていました.また,復習する時期を次の日,1週間後,1ヶ月後というふうにやるようにしました.これのおかげでだいぶ覚えられるようになった.
帰国後にすぐにまたカナダに行きたくなってきます.そこで,留学資金はないかと探していたところ,トビタテ!留学JAPANという奨学金を見つけます.応募してみたところうまく拾ってきただけたので,次の年に再度カナダに行けることが決定します.これをモチベーションとして英語の勉強を継続します.
また,大学院の授業で英語の講義をたくさん取るようにしました.そのおかげで,英語の文法について再度学び直すことができました.文法の大切さをより強く感じたため,English Grammer in Useを買ってより勉強するようになります.
そして,Netflixを使った英語の勉強もするようになります.具体的には,cc字幕付きの英語のドラマを観てました.
- まず字幕なしで一回観る
- 字幕付きで一回観る
- わからなかったところは日本語にして観る
- 気になったところは何回か観て覚える
ただ,最初はあんまり効果的ではない(内容がほとんどわからない)状態だったので,あくまでサブ的な感じでやってました.しかし,英語の学習を進めていく過程で結構効率的にできるようになっていきます.今もこれに関してはよくやっています.
修士2年生
1年間カナダにいました.今回は1人暮らしでした.すでに2回経験していたこともあり,かなり順調11に暮らすことができました.また,Netflixの動画を英語で観ての勉強が少しづつできるようになってきて成長を感じ始めます.
また,友達も増え始め,一緒に誕生日会をしたり,学会に行ったり,その道中一緒の車でひたすら話したり,英語の映画を観に行ったりするようになり,かなり自信がついてきます.
インプットでは,やっぱり基礎力ということで文法書をひたすらやります.ただ,単語帳をひらく機会は減りました.その代わりに読む量が増えていきます.
博士課程から現在
博士後期の最初の年に腕試しにTOEICを受験してみたところ,上にも書いた通り895点を取れました.もちろんTOEICを受ける前にTOEICの関連の単語や熟語などは覚えました.
目標としていた900は届かなかったのですが,ある程度は英語がわかるようになってきたのではないかと考えるようになりました.そして,まだまだレベルとしてはペラペラには程遠いなということも実感しました.
また,コロナ禍の影響で海外派遣が滞ってしまったので,少しモチベーションがダウンすることになります.
ただ,最近ようやく海外派遣再開の兆しが見えてきたので,また英語の勉強を再開しようかと考えています.
まとめ
かなり雑多な記事になってしまいました.また,勉強そのものよりもモチベーション維持に関する話が多くなってしまった気もします.
こうやってまとめてみると,主にやったのは
- 単語を覚える
- 文法を覚える
- 多読する
- 英語の映画やドラマを観る
- アウトプットを行う
という当たり前のことばかりでした.ある程度は満足いく状態になったのが博士課程に入ってからで,高専4年生から数えると大体6年くらいかかっています.なので,これらの勉強を続けていく上でのモチベーションを維持することが大切なのかもしれません.
こういった記事はネット上に無数にあります.n番煎じな記事です.なので,この記事の目的としては「あの人はこんなふうに勉強したり失敗したりして,現状だとあれくらいの英語のレベル感なのか」ということを伝える意味合いが強いです.私のことを知らない人は,ネット上にもっといい記事がたくさんあるので,そっちを読んだほうがいいかもしれないです.
少しでもこの記事が皆さんの英語学習の参考になれば幸いです.
最後に勉強に使った教材をリストとしてまとめます(抜けがあるかもしれないですが,概ねこのあたりを使いました)
勉強に使った教材リスト
ジャンルごとにまとめてみた. 特に順番は気にせず書いていきます.
単語帳
- 荻野治雄【監修】,データベース4500 3rd Edition,桐原書店,2008
- 多分一番繰り返した単語帳
- 神部孝,TOEFLテスト英単語3800 4訂版,旺文社,2014
- 2番目に多く繰り返した単語帳
- TOEFL解けるようになりたいと思って買った
- 投野由紀夫,フェイバリット英単語・熟語(テーマ別)コーパス4500,東京書籍,2015
- 初めて手をつけた単語帳
- ある程度の回数はやった思い出がある
- 鈴木 陽一,DUO 3.0,アイシーピー,2000
- 有名なやつなので購入した.
- 楽しくやれた思い出
- TEX加藤,TOEIC L & R TEST 出る単特急 金のフレーズ (TOEIC TEST 特急シリーズ),朝日新聞出版,2017
- TOEICを受験するにあたって購入した
- 2回くらいはやった
熟語帳
文法
- 石黒昭博,総合英語Forest 6th edition,桐原書店,2009
- 高専の英語の授業のために買った.ただいまだに何度も読み返している.読めば読むほど面白くなってくる
- Raymond Murphy,English Grammar in Use Book with Answers: A Self-Study Reference and Practice Book for Intermediate Learners of English,Cambridge University Press,2012
- 非常に有名な文法の本.
- 英語で書かれている
- 文法の持つイメージを結構学べる
発音
- 発音図鑑
- Apple Storeで買ったアプリ
- 発音の時に舌の形や口の形はこんな風にやるんだというのを学んだ
その他
- 薬袋善郎,基本からわかる英語リーディング教本,研究社,2000
- 研究室の先輩に教えていただいた本.これもめちゃくちゃ繰り返しやった
- W.L.クラーク,アメリカ口語教本・初級用,研究社,2006
- W.L.クラーク,アメリカ口語教本・中級用,研究社,2006
- 初級編はやり込んだので中級編も買った
- こっちは発音が少し早い.
- Netflix
- cc字幕付きのドラマとかを観た
- この文法はこういうニュアンスがあるのかみたいなことを学んだ
- オンライン英会話
- 2ヶ月ほどやってやめました
- 図書館でのランゲージエクスチェンジイベント
- 本文内の図書館でのイベント
- これは大学を修了するまで続けました
- 楽しいのでおすすめ.成長も実感できます.
- 留学生チューター
- 在学していた大学では留学生の疑問等に答えるチューターというのができた
- 学部4年から大学院1年終わりまでやっていた
- 結構楽しかった
-
900を超えていないので,まだまだではあるのですが...↩
-
初期は英語の動画を見る会をやったりしていて,後半はほぼ毎日外国人留学生が来ていて英語で色々なおしゃべりができました↩
-
初めての輪読会での発表はボロボロだったのはほろ苦い思い出...他のB4学生は優秀だなーって思ったりしました.↩
-
英語がほぼ喋れないB4学生だったのに,この機会を頂けたのは本当に感謝しています...↩
-
そして,これをきっかけにカナダに派遣されるたびに何かしらのトラブルを引き起こすというトラブルメーカーぶりをはっきするようになります.↩
-
この学生はその後トップジャーナルに3年で3-4本くらい書いてあっという間に博士を取って修了していきました.凄かった...↩
-
わかる人はわかる気がしますが...↩
-
詳細には書きませんが色々と悔しかった↩
-
彼はジェントル,頭がめっちゃ良い,料理がうまい,生活力が高い,イケメンという超ハイスペックマンでした.↩
-
あくまでも自分の過去の経験と比較してです↩